人声久語(拾遺帖つづり)

世の中そんなに捨てたもんじゃないよ あんまり頑張らないで 捨てられるものは捨てて行きましょう

久三郎様ぁ〰️

久三郎様ぁ〰️

夜になっても、一向に暑さが収まるではなく、蒸し蒸しとじわりじわりと汗が身体に巻き付くような今夜.....

月夜に照らされた先には蛾の群れが飛び交い、中の一匹は蜘蛛の巣にかかり、もがくほどに蛾を身動きがとれない状態にし、蜘蛛の餌食になるのを待つしかない光景を目にしている。

遥かに駒下駄の高く響く音が聞こえてきた。

「カランコローン!カランコローン.....」

その音から、いかにも育ちの良さそうな若い娘と、それに付き従う下女であろう低い下駄音が交互に重なり、次第に大きくこだまして来るのである。

首筋から生ぬるい汗が流れていった.....

トントン、トントン

久三郎様、久三郎さま、ここを開けて下さいませ
久三郎様.....

下駄の音が戸口の前で止まったかと思った矢先の女御の懇願するような甘い声が聞こえている。

久三郎様、久三郎さま、久さま

「お蜜」でございます。
あの折りに約束を交わした「お蜜」でございます

あの折りとは、考える久三郎であった

戸の隙間から覗きこむ久三郎の目に飛び込んで来たのは、春の花見の宴で出会い、引かれ合いながらも別れたあの美しい娘「お蜜」であった

これより先は、皆さんよくご存知の結末と相成る次第です。

夏になると必ずやテレビ、映画、舞台で演じられた「怪談話」
今、お目にかかるのが珍しいくらいに下火になりました。
寂しい限りです。

最後は必ずや悪退治して、怨念を晴らしてくれる。
怖いながらの「勧善懲悪」なんですよ。

我々、日本人が必ずや待っている「人情話」。

デジタルではだめでしょう
そこに至るまでの紆余曲折、裏切り、悲話

そうして、必ず「美男美女」に悪巧みを働く関わり者が登場してきます。

私は、この「牡丹灯籠」が大好きです。(最近は歌丸師匠もよくやりました)

お露を演じる女優がみな美人なんですね。
もうたまりません.....
キャ~ミソール〜 っは透ける白!


怖いけれど恐ろしくない、何故って?

愛があるからなのですね。

旗本の娘「お露」と下女お米
そうして橋本新三郎
新三郎の世話をする下働き夫婦「半造とお峰」

こんな登場人物達の人情を怪談話き仕上げた、三遊亭円朝の創作噺「牡丹灯籠」

牡丹の絵柄が付いた提灯を下げて、駒下駄の高く響く音がこだまする

そうして、一番浅はかなのは、半造とお峰夫婦

二人は悲惨な最後を迎えることになります

「人のエゴと欲」

これが一番恐い「怪談話」のようです

栗橋宿のお峰殺し、、、、
最後は仇討ちで終わる長〰️い話なのですが。

おぉ壇蜜 蜜!

久三郎さま〜

~つづく~