コーヒーが冷めないうちに
朝方まで降っていた小雨が上がり、公園のベンチに腰を下ろす。
前には、子供の自転車の練習をする父と息子、バドミントンをしながらハシャグ親子三人、ベンチに座り単行本を開く紳士淑女たち。。。。
中で目を引いたのは、ワイシャツの袖をまくりゴムボールとソフトバットで、野球を楽しむ5人組高校生である。
この時代は、サッカーかフットサルのようなボール蹴球のシーンであるのに。。。
何故か、、とても懐かしく遠~い昔を思い出す光景なのであった。。。
いくぞー 一番センター 中 ピッチャー振りかぶって第一球を投げました
この街にレンガの階段を下りた所に、叔父と姪が二人で営んでいる喫茶店「フニクリフニクラ」がある。
その店には、レジを抜けてカウンターを左に曲がり奥から二番目の席には、何も言わすに本を開き笑うこともなく、座っている夏服の女性がいるのです。
彼女は、トイレに行くとき以外は決してその、「レジを抜けてカウンターを左に曲がり奥から二番目の席」を離れることもなく、トイレから決まった私の席に必ず戻ってくるのです。
夏服を揺らしながら…
ただこの時間を、誰にも渡さぬように、
ただこの場所を、守っているかのように、
そうして、この店にやってくる客には同じような目的があった。。。。
それは、
その席に座っている間だけ望んだとおりの時間に移動ができるという。
過去にも、未来にも、行きたいその日に、、、
ただし、そこには非常に「簡単な五つのルール」があるだけ。
ひとつ.過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない者には会うことができない
ふたつ.過去に戻っても何をしても、現実は変わらない
みっつ.過去に戻れる席には彼女がいる
席に座れるのは、その彼女がトイレに行くとき席を立った時だけ
よっつ.過去に戻っても、席を立って移動することはできない
いつつ.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ
冷めてしまうと戻れない
こんな簡単なルールのはずが、過去に帰ったことで、とても、厄介な、融通のいかない「めんどくさいルール」になるのでした。
誰が試してみても。。。。
「過去」は、過ぎてしまった時間は、終わってしまった事は、悔やんでも、嘆いても、怒ってみても、変わることはないのです。
今があるのは、その、「過去」があるからのですよ。。。
「未来」なら、これから迎える時間ですから、自分の思い、行いで、その人の為にも、自分の為にもなるのですよ。。。。
未来も、今が、この時が、あるからこそ存在していることを教えられました。
「彼女に。。。。」
yuriyuri1003 = yoshihiro1003 なのでした、
タイミングに居合わせなければ、過去に戻るための席に座ることはできないんですよ。
『コーヒーが冷めないうちに』
、川口俊和による日本の戯曲、および日本の小説を原作とした映画です。
監督塚原あゆ子脚本奥寺佐渡子
4回泣きました。
今、イヤホンから繰り返し聞こえるのは、
佐野元春「someday」
時の流れに身をゆだねて
是非ご覧下さい