「人にはどれほどの土地がいるのか」
「人にはどれほどの土地がいるか」
ロシアの農民パホームは 自分の土地に種子を蒔き、自分の土地を耕し、自分の草場で草を刈った。
そうして自分の土地で薪を伐りだし、自分の地面で家畜を飼うこのような生活に満足をしていました。
ある日旅人が来て とても安い値段で 良く肥えた土地が手に入ると言うのです。
パホームは持っている土地や財産を全部売って新しい土地に移っていった。
そこでの暮らしは何倍にも楽になった。
それでも、パホームは だんだん住み慣れるにつれてこの土地でも狭苦しく思えてきたのです。
パホームはもっとたくさんの種を播いてもっと収穫をしたくなった。
そこにまた 旅人がきて バキシールという遠い土地でわずか千ルーブリで好きなだけの土地が買えるといった。
そこのバキシール人はみんな羊のようにうすのろでただ同然に土地が取れるとささやきました。
これが、悪魔のささやきには聞こえなかったのです。
パホームは、バキシールへ行きこの肥沃な土地を買いたいと言いました。
村長は「一日分千ルーブリでお売りしましょう」と言った。
しかし、それには条件がありました。
どういう意味なのかと聞くと
「気に入った土地の一点から歩き出し、土堀りでところどころ掘って木の枝や小石でしるしをつけ、一日中で歩き回った分を千ルーブリで差し上げるましょう」と言うのでした。
《ただし、日が沈む前に 出発点に帰ってこないとそれらはふいになる》
丘の上にある出発地点には、村長の帽子が置かれパホームは日の出から張り切って歩き出します。太陽がじりじり照りつける中、少しでも広い土地をとろうと食事もろくにとらずに歩き続けます。
心臓がはち切れんばかりに疲れてヘトヘトですが、
『一時間の辛抱が一生のトクになるんだ』
なんとか、日没時までには出発地点まで戻ってきた。彼は前のめりに倒れたが、倒れながらも両手で帽子をつかんだ。
しかし、。。。。
彼の口からはたらたらと血が流れ すでに息絶えていた。
下男は土掘りをとりあげて、頭から足まで入るようにきかっり三アルシンだけの墓穴を掘り、そして、彼をそこに埋めました。
パホームは、何のために破滅したのでしょうか。
彼に最後に残された土地は、彼の身長分しかない墓穴だけだったのでした。
身の丈にあった器しかなかったのです。
トルストイの創作民話
「人にはどれほどの土地がいるか」
勤勉なパホームなのに、その最期として、「欲」が心に忍び込んだとき、それを「悪魔のささやき」と言えるのでしょうか。
今朝の新聞記事を見てガァーン(ゴーン)と子供の頃に読んだ話を思い出しました。
「足るを知る」と言うことなのでしょうか。
肩が触れあう四畳半が身の丈かぁ~
ありがとう^^